あなたの映像はAIの学習に使われている?規約の読み方
自分の映像はAI学習に使われているのか。編集ソフトの規約の読み方、コンテンツ分析の意味、学習をオフにする方法を解説します。
あなたの映像はAIの学習に使われているのでしょうか。答えはツール、契約プラン、使った機能、アカウントの設定によって変わり、確実な答えはメーカー自身の規約の中にしかありません。確認すべきことは3つです。アップロードや処理をしたコンテンツが製品やモデルの「改善」に使われうるか、それがデフォルトで有効か、そしてオフにする設定がどこにあるか。Macから一度も出ない映像は誰の学習にも使えないので、いちばん安全なのは処理がローカルで完結するワークフローです。
このガイドでは、規約の読み方、よく出てくる表現が通常何を意味するか、メーカーが認めている場合の学習のオフにし方、そしてこの問題そのものを避けられる作業の種類を順に説明します。
答えが単純なイエスかノーにならない理由
AI機能を提供するソフトウェア企業には、実際のデータを欲しがる理由があります。例が多いほどモデルは良くなるからです。一方で、雑に集めてはいけない強い理由もあります。プロの顧客は秘密保持契約、公開スケジュール、プライバシー法のもとで仕事をしているからです。その結果、ルールはつぎはぎになります。
- プランによって違うことがあります。 ビジネス、チーム、エンタープライズ契約には、個人プランより強いデータ保護の約束が含まれることがあります。実際に使っているアカウントにどの規約が適用されるか確認してください。
- 機能によって違うことがあります。 デスクトップの編集ソフトは作業の大半をローカルで処理していても、生成機能やアシスタントとのチャットのような1つのクラウド機能が、独自のルールのもとでメディアやプロンプトをサーバーに送ることがあります。
- 保存場所によって違うことがあります。 メーカーのクラウドストレージに置いたファイル、共有のレビューリンク、ストック素材の提供プログラムは、ローカルのプロジェクトに残るファイルとは別の条項の対象になる場合があります。
- 時間とともに変わります。 規約は更新され、AIに関する条項は特に改訂が多い部分です。去年読んだポリシーが、今も有効なものとは限りません。
ですから、役に立つ問いはもっと絞り込んだものです。このアカウント、この機能、この保存場所で、今日の時点で、自分のコンテンツはモデルの学習や改善に使われうるのか。
どこを見ればよいか
関係する文言は、たいてい複数の文書に分かれています。それぞれを開き、最初から最後まで読むのではなく検索してください。
- 利用規約または一般規約。 コンテンツについてあなたが与えるライセンスが定められている場所です。
- プライバシーポリシー。 個人データについて書かれています。映像に映っている人や、その人が話した内容の文字起こしも含まれることがあります。
- AI機能や生成機能のページ。 最近はAI機能専用のFAQやポリシーを公開するメーカーが多く、いちばんわかりやすい情報源であることがよくあります。
- 製品ごとの規約。 クラウドストレージ、共同作業、ストック素材のプログラムには、それぞれ独自の規約がある場合があります。
- アカウントのプライバシー設定。 実際のスイッチがあるとすれば、法的な文章の中ではなくここにあります。
各文書を読んだ日付を書き留めておきましょう。プロジェクトがその答えに左右されるなら、コピーかPDFをプロジェクトの書類と一緒に保存してください。
注目すべき言葉
各文書で次の語を検索し、ヒットした箇所の前後の文を最後まで読んでください。英語の規約では原文の単語で検索します。
- 「学習」「トレーニング」「機械学習」「モデル」(train, training, machine learning, model)。 直接の言及です。あなたのコンテンツが使われる のか、使われる 可能性がある のか、使われ ない のかに注意してください。
- 「サービスの改善」「新機能の開発」(improve our services, develop new features)。 「学習」という言葉が一度も出てこなくても、モデルの改善を含みうる広い表現です。近くに、AI学習を限定または除外する文がないか探してください。
- 「コンテンツ分析」「コンテンツを分析」(content analysis, analyse your content)。 詳しくは後述します。
- 「ライセンス」「全世界」「ロイヤリティフリー」(licence, worldwide, royalty-free)。 ほとんどのサービスは、ファイルを保管し処理するためにライセンスを必要とします。そのライセンスが何のためのものか確認してください。サービスの運営のためだけか、製品開発のためでもあるのか。
- 「集計」「非識別化」「匿名化」(aggregated, de-identified, anonymised)。 あなたに結びつかないようにした形でデータを使う可能性があるという意味です。映像の場合、1フレームを非識別化するとは実際どういうことなのか、考えてみてください。
- 「オプトアウト」「オプトイン」「設定」(opt out, opt in, settings)。 選択肢があるかどうか、そしてデフォルトがどちらを向いているかがわかります。
- 「人によるレビュー」(human review)。 品質や安全性の確認などのために、スタッフがコンテンツを見る可能性があるかどうかです。
- 「第三者」「再委託先」(third party, subprocessor)。 他社のモデルがリクエストを処理するかどうか、その会社の規約が何かを追加するかどうかです。
コンテンツは「生成AIモデルの学習には使用しない」という条項と、「いかなる機械学習にも使用しない」という条項は同じではありません。範囲を正確に読んでください。
コンテンツ分析が通常意味するもの
「コンテンツ分析」は、ソフトウェアの規約の中でも特に誤解されやすい言葉です。一般には、メーカーのシステムによるファイルの自動処理を指します。そこには、かなり性質の異なるものが含まれえます。
- あなたが頼んだ機能の実行。 クリップの文字起こし、シーン検出、写真へのタグ付けも、技術的にはコンテンツの分析です。
- 安全性と不正利用のチェック。 保管されたファイルに違法な素材や規約違反がないかスキャンすることです。
- 製品の改善。 コンテンツのパターンを機能の構築や調整に使うことで、ポリシーによっては機械学習が含まれることもあります。
この言葉はこれだけ広い範囲をカバーするので、それだけではどちらの証拠にもなりません。ポリシーが分析を 何のために 行うと書いているか、メーカーのクラウドに保存されたファイルだけが対象かローカルのファイルも対象か、改善目的をオフにできるかを確認してください。文言を読んでも判断がつかない場合は、自分の使い方がどの分類に当たるのかをサポートか営業に書面で問い合わせ、その返信を保管しておきましょう。
オプトアウトできる場合の手順
メーカーが選択肢を用意している場合、手順はおおむね似ています。
- ウェブでサインインし、アカウント、プライバシー、データの設定ページを開きます。こうしたスイッチはデスクトップアプリの中にないことがよくあります。
- 次のような文言を探します。「コンテンツ分析」「製品の改善」「改善に協力」「データを学習に使用」「機械学習」など。
- オフにして、日付が見える状態でスクリーンショットを撮ります。
- すべてのアカウントで繰り返します。 管理者がポリシーを強制していない限り、チームメンバー、フリーランス、アシスタントはそれぞれ自分の設定を持っています。
- チームや組織の管理設定を確認します。 ビジネスプランでは管理者が一括で設定できる場合があり、全員にお願いするより確実です。
- 大きなアップデートの後や、メーカーから規約変更のメールが届いたときに再確認します。
オプトアウトは一般に、それ以降に対して適用されます。すでに処理されたデータに影響するかどうかは、規約に書かれていることもあれば書かれていないこともあるので、その部分も読むか、問い合わせてください。
映像を外に出さないワークフロー
映像を学習に使われないようにするいちばん確実な方法は、他人のシステムに入れないことです。それはAIを避けるという意味ではありません。役に立つ作業の多くが、今ではコンピューターの上で動くからです。
- 編集とレンダリングをローカルで行う。 プロジェクトファイルとメディアは自分のドライブに置き、クラウド同期はデフォルトではなく、特定のプロジェクトのために意図して選ぶものとして扱います。
- 機密性の高い素材にはオンデバイスAIを選ぶ。 文字起こし、字幕、検索、顔のぼかし、ノイズ除去は、現行の編集ソフトのいくつかでローカルで動きます。AI動画編集は素材をアップロードする?で説明しているように、ネットワークを切った状態で各機能を試してください。
- 意図して共有する。 レビュー用のコピーは規約を読んだ経路で送り、未公開の作品ではウォーターマークを入れるか、送るものを絞ります。
- 生成系のクラウドツールは公開してもよい素材に限る。 アップロードが必須の機能には、プロジェクトの外で見られても構わない映像だけを渡します。
- クラッシュレポートと診断情報を確認する。 ファイル名やパスが含まれることがあります。送る前に確認したり伏せたりする方法がないか探してください。
機密性の高いテーマを扱う作品でローカル処理を選ぶ理由については、オンデバイスAI動画編集とプライバシーを参照してください。
cinemaOSの位置づけ
cinemaOSはApple silicon向けのMacネイティブな編集ソフトで、AI機能はMac上で動くように設計されています。プロジェクトは自分のドライブ上にある、ローカルファーストの.mntmファイルです。
オンデバイスのアシスタントであるJ.A.R.E.D.は、一文で説明したルックなどの変更を提案し、Always askを有効にしていれば、承認するまで何も適用されません。生成クレジットはありません。
文字起こし、字幕作成、ローカルでの字幕翻訳はMac上で動きます。オフライン字幕のチュートリアルではWi-Fiをオフにしたまま字幕をフランス語に翻訳するので、ローカルで動くという主張を自分で確かめる手早い方法になります。
限界も書いておくべきでしょう。cinemaOSはリップシンクに対応しておらず、Premiere Proのプロジェクトファイルを直接開くこともできず、After Effectsを完全に置き換えるものでもありません。現時点ではMac専用で、Windows版は2027年11月の予定です。そして他のどのメーカーとも同じように、信用するのではなく試すべきです。オフラインテストは、他のすべてのソフトと同じようにcinemaOSにも使えます。
FAQ
オプトアウトすれば、過去の映像は学習データから削除されますか?
必ずしもそうではありません。オプトアウトは通常、オフにした時点から適用されます。それ以前のデータが除外されるか削除されるかはメーカーの規約次第なので、その部分を読むか、サポートに書面で問い合わせてください。
ローカルのデスクトップ編集ソフトが学習のために映像を送ることはありますか?
編集そのものはコンピューター上で行われますが、個別のクラウド機能、クラウドストレージ、一部の診断情報はコンテンツを外部に送ることがあります。ネットワークを切って各機能を確認し、接続が必要な機能については規約を読んでください。
自分の映像がAIの学習に使われるのかとクライアントに聞かれたら、何と答えればよいですか?
映像を扱ったツール、ローカルで動いた機能、確認した学習関連の設定を、日付と一緒に伝えてください。短い書面のメモは一般的な約束よりも安心感を与えることが多く、ツールが規約を変えたときに更新できる記録にもなります。