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ハウツー

映画公開のためのブランドキットを全アスペクト比で

作品のブランドキットを一度作り、ポスターから予告編のタイトル、9:16のSNS画像まで持ち運ぶ。あらゆるアスペクト比でキーアートを一貫させる実践的なワークフロー。

作品のビジュアルアイデンティティとは、リリースのあらゆる素材を同じ作品に見せる判断の集まりです。タイトルの処理、書体、色、クレジットブロックの置き方、ロゴの周りの余白。ブランドキットはそうした判断を置いておく場所で、ポスター、予告編のタイトル、9:16のストーリーズが、少しずつ違う5つのコピーではなく、1つの元から生まれるようにするものです。映画の宣伝でSNSの画像サイズがいくつも必要になるときこそ、これが効いてきます。

ワークフローを短く言えばこうです。アイデンティティを一度定義し、キットとして保存し、すべてのレイアウトとタイトルに適用し、それぞれのデザインを各サイズに展開して、まとめて書き出す。cinemaOSでは、キットはAtelier ▸ Brand、適用はLayoutとCREATEのタイトル、サイズ展開は Adapt、一括書き出しは Export All Aspects(⌘⌥E)です。この記事の残りでは、各ステップをうまく進める方法を説明します。

インディー映画のリリースがブランドから外れていく理由

小さなリリースでは、アイデンティティはたいてい1人のポスターファイルから始まります。それから予告編の編集者がタイトルカードを目分量で作り直します。別の誰かが映画祭のローレル入りのバージョンを作ります。SNS用の短縮版は、手の空いている誰かが夜遅くに作ります。作品が3つ目のプラットフォームに載るころには、タイトルのフォントは「ほぼ同じ」になり、赤は3種類の違う赤になっています。

どれも不注意のせいではありません。アイデンティティが、ルールの集まりではなく完成した1枚の絵としてしか存在しないと、こうなるのです。ブランドキットは、その絵をルールに戻します。タイトルにはこの書体、クレジットにはこの書体、この色、このロゴの組み方、この安全な余白。キットを適用すれば、誰でも同じ答えにたどり着きます。

何かを作る前にアイデンティティを決める

ソフトを開く前に、判断を書き出しましょう。1ページのスタイルシートで十分です。

  • タイトルの処理。 完成したロックアップとしてのメインタイトルと、サムネイルの大きさでも読める簡略版。
  • 書体。 タイトルやディスプレイ用に1つ、本文やクレジット用に1つ。たいてい2つで十分です。
  • 色。 作品そのものから取った主となる色、ニュートラル、アクセントを1つ。ムードボードからではなくフレームから取れば、アートが作品らしく感じられます。
  • 画像のルール。 どのフレームやスチルが承認済みで、どう扱うか(グレーディング、粒子、切り抜き)。
  • 固定の要素。 クレジットブロック、ローレル、Webサイトや公開情報の一行、配給会社や制作会社のロゴ。

ここで最も役に立つ習慣は、フレームを最初に選ぶことです。キーアートと予告編が同じグレーディング済みのスチルから始まれば、色は何もしなくても一致します。そうしたフレームの選び方と仕上げ方は、自分の映像フレームから映画ポスターを作るで取り上げています。

Atelier ▸ Brand でキットを作る

⌘3 でAtelierに切り替えます。Brand ルームはAdvancedの下、Photo、Layout、Video Compositionの隣にあります。HOMEチップ(⌘⇧H)の Brand Kit タイルからも開けます。

Brandルームでは、新しいキットを作るか、既存のキットを読み込みます。キットは .momentumbrand ファイルとして保存されます。これには2つの意味があります。第一に、キットは作品の他の素材と一緒に保管し、バックアップできるファイルだということ。第二に、予告編やSNS版を作る人に同じキットを渡せば、まったく同じルールから始められるということです。

作るときの実践的なアドバイスです。

  1. キットには作品名とリリースの段階で名前を付けます。たとえば映画祭用と劇場公開用でアイデンティティが違うなら、それを区別します。
  2. タイトルのロックアップと簡略版を別々の素材として加え、誰もフルのロックアップを正方形に押し込まないようにします。
  3. パレットは小さく保ちます。12色入ったキットはキットではなく、色見本のライブラリです。
  4. キットを変更したら、Brandルームの Deploy / Sync を使い、キットを使っているデザインに変更を反映させます。

キットはPhoto、Layout、Video Composition、タイトルにわたって適用されます。一度作ることの意味はそこにあります。

ポスターと予告編のタイトルに適用する

Layout に移ってポスターを用意します。タイトルを加え、承認済みのフレームを置き、キットを適用します。入力のほうが好みなら、J.A.R.E.D.(⌘J)に「Apply this brand kit to the project」と頼んでください。ローカルで動き、変更は実際のドキュメントに反映されるので、他の編集と同じように ⌘Z で取り消せます。

そこからは目で詰めていきます。「Headline bigger and bold」のような小さな調整なら自然言語の編集が使えますが、構図は今もあなたの仕事です。ポスターを原寸と、スマートフォンのサムネイルの大きさの両方で見てください。小さいサイズでタイトルが読めないなら、簡略版のロックアップを使います。

予告編では、キットがSequencerまでついてきます。CREATE(HOMEとJ.A.R.E.D.の間)をクリックし、Titles を開いて、タイトルをタイムラインにドラッグします。こうして作ったタイトルは生きたままです。後から文言を変えてもカードを作り直す必要はなく、キットの書体と色はポスターと一貫したままです。クリップに焼き込まれた古いタイトルがあれば、右クリックして Make Live を選びます。

手戻りを大きく減らすコツがあります。予告編のエンドカードはポスターと同じ作業時間の中で作り、並べて比べることです。映画祭のページでは、人はポスターを見る1秒前にエンドカードを見ることがあるので、食い違いが最も目立つのはエンドカードなのです。

すべてのサイズに展開し、Export All Aspectsで書き出す

リリースには、同じデザインがさまざまな形で必要になります。インディー映画の典型的なリストはこんな感じです。

  • 映画祭への応募と掲載用の縦長ポスター
  • 予告編のエンドカード、Webサイトのバナー、動画のサムネイル用の16:9
  • フィード投稿用の1:1
  • 縦長のフィード投稿用の4:5
  • ストーリーズと縦型動画用の9:16

正確なピクセルサイズはプラットフォームや映画祭によって変わるので、書き出す前にそれぞれの最新の仕様を確認してください。

Layoutで Adapt を使い、マスターデザインから他のサイズを作ります。展開は切り抜きと同じではありません。サイズごとに独自の配置になるので、一つひとつ確認してください。

  • 縦長から9:16。 たいてい最も簡単です。プラットフォームのインターフェースが重なる上部と下部に注意します。
  • 縦長から16:9。 最も難しいものです。画像を片側に寄せ、タイトルを上ではなく横に置く必要があることが多くなります。
  • 正方形。 クレジットブロックはたいてい外すことになります。タイトル、画像1枚、一行だけを残します。

すべてのサイズが整ったら、⌘⌥E で Export All Aspects を実行します。1つの元から一式を一度に書き出せます。赤を同じ赤に保つのは、まさにこの仕組みです。

動く映像で同じことをするのが、予告編そのもののリフレームです。横動画を縦9:16にリフレームする方法で、被写体のトラッキングとタイトルを安全に置く場所を説明しています。

リリースの間ずっとアイデンティティを保つ

キットは、人が使い続けて初めて機能します。いくつかの習慣が役立ちます。

  • 担当者は1人。 キットの変更を承認するのは1人。それ以外の人は適用するだけです。
  • キットのファイルをバージョン管理する。 映画祭でのプレミア後にローレルが加わるなど、アイデンティティが変わったら、.momentumbrand ファイルの日付入りのコピーを残します。
  • レタッチではなく書き出し直す。 何かが変わったら、書き出したPNGを編集するのではなく、マスターデザインを変えてExport All Aspectsをもう一度実行します。
  • 作品と照らし合わせる。 数週間ごとに、最新のキーアートを作品のフレームの隣に置いてみます。離れてしまっていたら、動いたのはたいていアートのほうです。

FAQ

作品のブランドキットには何を含めるべきですか?

最低限、タイトルのロックアップと簡略版、1〜2の書体、作品から取った小さなパレット、承認済みのフレーム、ロゴやクレジットブロックなどの固定の要素です。展開したサイズでも読みやすさを保てるよう、安全な余白のルールも加えましょう。

cinemaOSのブランドキットを他の人と共有できますか?

はい。キットは .momentumbrand ファイルなので、予告編やSNS版を作る人にファイルを送れます。cinemaOSにはクラウドでの共有プロジェクトがないので、キットはファイルそのものとして受け渡します。

ポスターのために別のデザインアプリは必要ですか?

このワークフローでは必要ありません。AtelierのLayoutルームがポスターとそのサイズ展開を扱い、同じキットがSequencerでの予告編のタイトルにも使われます。デザイナーが別のツールを好むなら、最初に書いたスタイルシートがそのまま使えます。

次のリリースで試す

今、ポスター、予告編、SNS用素材が3つの別々のプロジェクトになっているなら、キットを1つ作り、そこからすべてのアスペクト比を書き出してみてください。cinemaOSはApple silicon搭載Macで動作し、カード登録不要の60日間の無料体験があります。タイトルのロックアップと承認済みのフレーム1枚から始めましょう。あとはそこから続いていきます。